慢性的な鼻づまり・鼻炎の症状

慢性的な鼻づまり・鼻の炎症の代表的な病気は、アレルギー性鼻炎と慢性副鼻腔炎です。「炎症」ですから、日頃のセルフケアと薬物治療が基本となります。このような治療法を「保存的治療」といいます。鼻づまりや鼻の炎症は直ちに命に関わる症状ではありませんが、呼吸という生命維持に不可欠な機能に直結する大切な症状です。特に夜間の鼻閉は大きな問題で睡眠の質にも大きく関わり、快適な日常生活の維持に鼻閉の改善は不可欠です。保存的治療だけではよくならない場合、手術治療で鼻閉を解決することができます。ただし、「炎症」ですから、手術をしたあとも適切なセルフケアを続ける必要があります。

鼻づまりの原因として考えられる疾病。

  1. アレルギー性鼻炎・肥厚性鼻炎・血管運動性鼻炎
  2. 慢性副鼻腔炎
  3. 鼻中隔弯曲症
  4. 鼻腔・副鼻腔腫瘍

それぞれの疾病に関して、順に説明いたします。

アレルギー性鼻炎・肥厚性鼻炎・血管運動性鼻炎

鼻腔の中の下鼻甲介という部分の腫脹が鼻閉の主な原因になります。下鼻甲介は、左右の鼻腔の外側の壁から鼻腔の中央に向かって突出している構造で、吸い込んだ空気を暖め、加湿して気管に届ける大切な役割を果たしています。下鼻甲介の機能や形を調節することで、これらの鼻炎における様々な症状を改善させることができます。

粘膜下下鼻甲介骨切除術

後鼻神経切断術

慢性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎は、かつて「蓄膿症」と呼ばれていた病気ですが、昔の「蓄膿症」と同じタイプの慢性副鼻腔炎は、今日では滅多にお目にかかることはありません。副鼻腔炎の原因は、細菌感染からアレルギー性の炎症に変遷し、現代ではアレルギー性の炎症による副鼻腔炎が中心となっています(好酸球性副鼻腔炎)。これに伴い、手術を含めたトータルでの治療法も大きく変わりました(内視鏡下副鼻腔手術:ESS)。現在では、嗅覚障害の大きな要因が慢性副鼻腔炎となっており、適切な嗅覚障害の検査・診断が慢性副鼻腔炎の診断・治療に欠かせないものとなっています。

内視鏡下副鼻腔手術(ESS)

鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)

鼻の形による鼻閉の代表的な原因が鼻中隔弯曲症です。鼻中隔は、鼻腔の中央にあり、左右の鼻腔の隔壁になっています。また、鼻の外見を決める柱の役割を果たしています。ある程度の弯曲は誰にでもありますが、弯曲の度合いが強いと鼻閉の原因となります。治療は、手術になります。昔から行われている手術ですが、手術方法は大きく変化してきました。どこが曲がっているのか、なぜ曲がっているのかをしっかりと見極め、手術後の鼻の構造としての強度にも配慮した繊細な手術が求められます。それらの手術(鼻中隔矯正術)は術者の技量の差がでる手術です。

鼻中隔矯正術

鼻・副鼻腔腫瘍

慢性副鼻腔炎と診断されている患者さんに少なからず「炎症」ではなく、「腫瘍」の患者さんがおられます。多くは、「乳頭腫」という良性の腫瘍です。これ以外にも様々な種類の腫瘍ができるのが、鼻副鼻腔の特徴です。

「腫瘍」に対する手術は、副鼻腔炎という「炎症」と違う考え方、やり方で手術しなければなりません。「腫瘍」の手術に対応した特別な手技や手術器機が必要となります。当院では、「腫瘍」に対する手術に対応できる手術器機と「腫瘍」に対する手術の経験が豊富な医師が対応できる体制を整えています。

「腫瘍」の中には、当院では対応できない(一定期間の入院を要するなど)症例も、当然あります。このような症例では、京都大学医学部附属病院・耳鼻咽喉科・頭頸部外科の専門外来と密接に連絡を行い、患者さんにとって理想的な手術、治療が行えるようにいたします。京都大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科では、脳外科と共同で頭蓋底腫瘍センターを形成し、鼻副鼻腔の腫瘍に対して最先端の治療が受けられる体制を確立しています。