慢性的な鼻づまり・鼻炎の症状・症例

鼻かぜをひいた時、花粉症の時期、これらに一時的に鼻がつまり苦しい思いをされた経験がある方は多いと思います。ただ、この鼻づまりが3か月以上続く時は、慢性の鼻づまりとして検査や治療をうけられることをおすすめします。

原因として次の疾病が考えられます。

  1. 鼻中隔彎曲症
  2. アレルギー性鼻炎
  3. 肥厚性鼻炎・薬剤性鼻炎
  4. 慢性副鼻腔炎
  5. 鼻腔・副鼻腔腫瘍

それぞれの疾病に関して、順に説明いたします。

鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)

鼻は左右二つの孔から左右の鼻腔につながり、鼻奥にある喉との境目でひとつになります。その左右を隔てるついたてを鼻中隔と呼びます。鼻の周囲は鋤骨、篩骨、上顎骨といった顔を構成する骨の一部と鼻中隔軟骨という軟骨がジグソーパズルのように組み合わさっています。

その鼻中隔は成長に伴って上下前後に伸びていくのですが、成長に伴って左右どちらかにたわみ(彎曲)ができてしまうことがあります。このたわみは実はほとんどのヒトにあるものですが、この彎曲が強すぎて鼻の通り道を物理的に狭くしてしまい「鼻がつまる」という症状がでた状態を「鼻中隔彎曲症」と言います。

これは手術以外に治す方法はありません。

我慢できないレベルの鼻づまりが鼻中隔の彎曲によるものと診断された場合には、手術(鼻中隔矯正術)を勧めます。

鼻中隔矯正術

アレルギー性鼻炎

ハウスダストやダニ、スギやヒノキの花粉などを抗原として、それを排除するために体の中で抗体をつくり、 くしゃみや鼻水で抗原を押し出そうとする反応が強くでてしまっている状態です。

この炎症反応は下鼻甲介という部位で強くおこるのですが、長期間の通年性アレルギー性鼻炎や重度の花粉症の結果、下鼻甲介は過度に肥厚してしまいます。抗アレルギー剤の内服薬の中には鼻づまりを楽にする効果が期待できるものもありますので、まず内服治療、鼻うがい、ステロイド点鼻薬などで治療をすることになります。

ただ、肥厚しすぎた下鼻甲介はなかなか元に戻りません。薬や鼻うがいで改善しない場合は下鼻甲介を薄くする手術(粘膜下下鼻甲介骨切除術)の適応となります。

粘膜下下鼻甲介骨切除術

肥厚性鼻炎・薬剤性鼻炎

血液検査などでアレルギーが認められない方であっても下鼻甲介が過度に肥厚することはあります。

たとえば、鼻中隔彎曲によって左右の鼻腔の幅のバランスが崩れている場合に、狭くない方(彎曲側の反対側)の下鼻甲介が代償性に肥厚してしまうことがあります。これは鼻中隔彎曲症と同時に治療をすればよくなるものです。

また、長年の鼻づまりを薬局で売られている血管収縮剤の入った点鼻薬を使ってしのいで来られた方の中には「薬剤性鼻炎」と呼ばれる下鼻甲介が過度に肥厚した状態になってしまう方がおられます。

血管収縮剤の連用は逆に下鼻甲介に分布する血管を「鍛えて」しまい、収縮剤の無い状態では下鼻甲介が肥厚した状態が続いてしまうのです。

これはまず市販の点鼻薬を断ち切ることからスタートしてもらう必要がありますが、これはかなりの苦行です。内服薬として抗アレルギー剤と血管収縮剤の合剤(ディレグラ®)を服用してもらい、鼻うがい、ステロイド点鼻薬などで粘り強く市販点鼻薬からの離脱を図ります。
ただ、ディレグラ®の内服を長期間にわたって続けざるを得ない状況や、他の病気をお持ちで内服ができない場合などは、粘膜下下鼻甲介骨切除術や後鼻神経切断術の適応となります。

慢性副鼻腔炎

副鼻腔の中に膿やポリープが充満してしまった状態が3か月以上続く場合「慢性副鼻腔炎」と診断されますが、鼻汁の量やポリープの大きさなどによって鼻づまりが引き起こされます。

副鼻腔炎による鼻づまりの症状は様々で、「あまり鼻はつまらない」という方、「空気は通るけど鼻の付け根が詰まったような状態が続く」方、「完全に鼻がつまっている」方と様々です。

ファイバースコープ、CT検査などでどういったタイプの副鼻腔炎かを診断した後、内服薬、鼻うがい、点鼻薬などで改善をめざしますが、すでにそういった治療をされてきた方に対しては手術治療(内視鏡下副鼻腔手術)を組み合わせることをすすめています。

鼻腔・副鼻腔腫瘍

最近片方の鼻が詰まるようになってきて、ポリープによって詰まっていると診断され治療をうけられている方の中に腫瘍が原因の方がおられます。

多くは良性腫瘍ですが、腫瘍の前の方がポリープの様な見た目になっているとなかなか診察だけでは区別がつかないことも多いやっかいなものです。外来で一部を切除して病理組織検査を行い、CT、MRIを撮影して診断します。

現在、当院では外来で腫瘍と診断された際には基本的に京都大学などの大学病院を紹介していますが、手術中に疑わしい腫瘤がみつかるケースもあります。この場合は腫瘍のサイズと位置に合わせた拡大副鼻腔手術を可能な範囲で行います。この場合は再手術が必要かどうかを病理検査や手術後の経過で判断いたします。