鼓室形成術

炎症が高度な中耳炎・真珠腫に対して行う手術方法です。中耳から乳突部の病変を取り除いて、聴力改善のための鼓膜の再建や、人工骨等を用いて聴力を改善させる手術法で、耳の後ろを5~7cm切開し、手術を行います。

当院の手術は、基本1泊2日での入院による全身麻酔で行っており、手術後3時間から動いたり食事を摂っていただいたりすることも可能です。

我々は鼓室形成術を行うにあたり、次の3つの点を目標としています。

なかでも、3番の項目は手術成績に反映されることが少ないのですが、QOL<Quality of Life:病気を取るというだけではなく、病気も取り、生活のレベルも変えない>という観点からは、元の形態を取り戻す・・・ということが非常に大切であると考えています。

手術を行う際、外耳道の骨を削除して見やすい状態にしてから病変を取り除く方法も良く行われていますが、本来の耳の穴から鼓膜までのトンネル(外耳道)が大きな空洞になってしまい、耳垢がたまりやすくなったりめまいがおこりやすくなったりすることがあります。

外耳道後壁保存(canal wall up technique)

当院では高度な技術を要するとされる外耳道後壁保存(canal wall up technique)を出来るだけ行うべく努力しております。外耳道後壁保存とは患者様の本来の外耳道の形を極力保った手術法で、より自然な元の耳の中(外耳道)の形を保つことで、「病気を取り除く」・「機能を取り戻す」だけでなく、患者様の違和感も少なく日常生活の質も保つ事ができるような治療に取り組んでいます。

例えば、小児においては外耳道後壁を削除すると水泳を行うことが困難となります。このような生活上の制限が加わることは、患者さんにとっては非常に辛いことです。我々は、聴力改善や真珠腫や炎症の病巣を除去することはもちろんのこと、「本来の耳の形態を取り戻し、少しでも日常生活が快適に送れるようにすること」も治療の目標としております。

症例.1

重度の中耳炎・真珠腫で来院。

低音がほとんど聞こえない高度な難聴で、外耳道に出血も見られました。手術を行うことにより、聴力もほぼ正常に戻り、自然な元の耳の中に戻りつつあります。

聴覚測定結果

症例.2

典型的な中耳炎・真珠腫で来院。

出血などは見られませんでしたが、聴力がかなり落ちていました。術後の回復も早く、術後2か月ほどでほぼ正常な聴力を取り戻し、術痕もきれいです。

聴覚測定結果

症例.3

重度の中耳炎・鼓膜穿孔で来院。

聴力もかなり低下しており、自然治癒の見込みが無いので手術を行うことになりました。術後の回復も順調で、聴力も日常生活においてほぼ問題ないレベルまで回復しています。

聴覚測定結果