嗅覚の低下の症状・症例

においがわからない

  • 鼻がつまっているうちににおいがわからなくなってきた
  • 風邪をひいたあと、風邪は治ったのににおいだけがわからないまま
  • 家族がわかるにおいが自分だけわからず困っている
  • 3か月ほど治療したが「もう治らない」と言われてしまった

これら「嗅覚の低下」の症状でお困りの方は一度嗅覚専門外来での検査や診察をおすすめします。
嗅覚障害の中には治療方法を変えることで改善を期待できるものもあります。

嗅覚障害の原因

嗅覚を低下させる原因のうち、最も多いものは副鼻腔炎

においを感じる粘膜(嗅粘膜)は鼻の上、奥の方にある嗅裂という部位に存在していますが、空気を吸った時に鼻腔に入ってくるにおい分子が粘膜の腫れやポリープ(鼻茸)などに邪魔されて嗅裂まで到達しないことで嗅覚障害がおこります。

さらに、副鼻腔炎の中でも好酸球性副鼻腔炎と呼ばれる難治性の副鼻腔炎は、鼻茸が嗅裂の周囲にできることも多く、嗅覚障害がおこりやすいものです。

アレルギー性鼻炎や鼻中隔弯曲症も嗅覚障害の一因

花粉症やダニ・ハウスダストなどによるアレルギー性鼻炎による鼻腔の粘膜の腫れや重度の鼻中隔弯曲による嗅裂への空気の流れの遮断も嗅覚障害の一因です。鼻中隔の彎曲が片方に偏りすぎると、においが片方だけ無いといった症状を自覚することもあります。

風邪のウイルスが嗅粘膜~嗅神経にダメージを与える感冒後嗅覚障害

風邪にかかった後、咳や鼻水といった症状は治ったのににおいがわからない状態が治らない、これは「感冒後嗅覚障害」かもしれません。ウイルスが嗅粘膜~嗅神経にダメージを与えている状態であり、わかるにおいとわからないにおいができたり、本来のにおいと違うもののように感じたり(異嗅症状)します。

頭部や顔面の外傷に伴っておこる外傷性嗅覚障害

鼻や頭を骨折するような外傷、骨折はなくても頭部打撲によって脳挫傷をおこしてしまった方などが嗅覚障害を自覚されることがあります。嗅神経は頭部の前方にありますが、転倒などで後頭部を打撲した場合に頭蓋内で脳が前方にずれて前方の脳挫傷をひきおこし、嗅神経の末端の嗅糸と呼ばれる部位が切れてしまったりしてにおいがわからなくなることもあります。

加齢による嗅覚の衰え

アメリカでの調査では、男性は60歳代、女性では70歳代から有意に嗅覚低下を認めたという結果がでています。日本での調査でも50歳代から徐々に嗅覚が低下していくことがわかっています。

アルツハイマー型認知症やパーキンソン病に伴う嗅覚障害

これらの神経変性疾患と呼ばれる疾患は、症状が進行する前や早期ににおいがわかりづらくなることがあると言われています。においがわかりづらくなるだけではなく、においはするのだけど何のにおいかがわからなくなるという症状を示したりします。

嗅覚障害の治療方法

副鼻腔炎・鼻炎

鼻洗浄、内服薬(抗アレルギー薬・抗生剤・経口ステロイド薬)、ステロイド点鼻薬といった治療で改善することもありますので、まずはこういった治療からはじめていきます。

ただ、すでに長期間前述の保存的治療をうけられていた場合や鼻の中に鼻茸が充満している場合などは手術治療(内視鏡下副鼻腔手術)も選択肢となります。鼻中隔彎曲に伴う症状が疑われる場合には積極的に手術(鼻中隔矯正術)をおすすめします。

副鼻腔炎の手術によって多くのケースで症状が改善されますが副鼻腔炎の種類や重症度によって改善の程度に大きな差異が生じます好酸球性副鼻腔炎の中でも喘息や鎮痛薬アレルギーを合併されている方などは手術によって一時的ににおいを取り戻してもまた悪くなったりしますので長期的なケアが必要となります。

感冒後嗅覚障害

1年間の経過観察でゆっくりと自然改善するケースもありますが、内服薬や他の治療によって改善率を高めることが期待できます。

現在、日本では漢方薬、ビタミンB12、亜鉛製剤の内服による治療がよく行われています。この効果はまだはっきりと証明されたものではなく、どの薬が効果を持つかについては現在全国の大学や病院で臨床試験が行われているところです(2018年1月現在)。

当院もこの臨床試験に参加していますので対象の方には詳しく説明いたします。臨床試験の対象とならない方にはその他の治療法を提案させていただきます。

その他の嗅覚障害

脳挫傷に伴う外傷性嗅覚障害や加齢や神経変性疾患に伴う嗅覚障害を改善させる有効な治療法は残念ながらみつかっていません。

近年注目されている嗅覚刺激療法などの効果が加齢による嗅覚の低下などには効果を持つかもしれないと考えられていますので、治療方法の確立にむけて日々研究がすすんでいる段階です。

嗅覚刺激療法について

最近テレビでもとりあげられた最新のにおい治療と呼ばれるものです。

リハビリテーションの一種ともいえ、ダメージをうけた嗅神経が回復するのを促進する、または嗅神経から送られる不完全なにおい情報を脳の中で調整するなどの機序によってにおいが回復するのではないかと言われ、世界中で積極的にすすめられている治療です。

現在日本ではどういった方法で行うかを検討している段階です。当院でも現在いろいろな工夫をしながら取り組んでいますので、数か月以上投薬治療を続けているにもかかわらずにおいがなかなか治らず困っておられる場合などは、一度当院嗅覚外来を受診し、ご相談くだされば詳しく説明いたします。

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