薬が効かない重症のアレルギー性鼻炎の子どもへの手術治療

アレルギー性鼻炎に対する治療は薬を内服して症状を抑える方法が広く行われていますが、 くしゃみ・鼻みず・鼻づまりといった症状のうち、「鼻づまり」(鼻閉)は薬が効きづらい症状です。

中でも子どもの鼻づまりは成長障害、睡眠障害、学力低下などをもたらすと言われています。

すこやかな身体とこころの成長のために鼻呼吸を取りもどす

当院では重症のアレルギー性鼻炎による子ども(小児)の鼻閉(鼻づまり)を改善するための治療として、12歳前後から全身麻酔下での内視鏡手術を行っています。

主に行っている手術: 

病状にあわせて行うことがある手術:

当院では2010年以降、235名の小学生、中学生(10~15歳)に手術を行ってきました (2017年9月現在)

SNOT22という、世界中で用いられている鼻副鼻腔炎に関連する自覚症状の調査票を用いて手術後の自覚症状の変化を調査した結果、手術後、鼻閉症状のみならず、睡眠・精神状態にかかわる自覚症状が長期にわたって改善されていることがわかりました。特に、「寝つき」「集中力」という項目で改善がみられました(2017年の日本鼻科学会にて報告)。

手術中の痛みがなく安全性が向上している全身麻酔手術

手術は大体60~90分くらいで終わります。ただ、数分でも耐える事の難しい子どもは局所麻酔での手術は難しいものです。一方、全身麻酔は手術中の痛み・不安や恐怖等を感じずに手術を受ける事が可能です。 また、手術日の夜は少し出血したりしますので入院していただくことが本人、家族の両方にとって安心です。(逆に何日も入院するのは子どもにとっては大きなストレスになります)

つまり、全身麻酔手術1泊2日入院は子どもにとってストレスを感じない手術環境といえます。

最近の全身麻酔は麻酔薬の進歩により昔より格段に安全なものとなっています。また、当院では全身麻酔手術が受けられるかどうかにつき、前もって採血・心電図・呼吸機能などの検査を行い、結果に問題のない方のみに手術を行うことで、より安全性を高めています。(検査で問題のあった方には投薬治療や粘膜焼灼術などの治療を行ったり、総合病院に紹介したりします)

当院では小児への全身麻酔経験が豊富な麻酔医が揃い、月曜から金曜まで全身麻酔手術を行うことができます。

手術後は生理食塩水による鼻洗浄を推奨

術後は1か月ほど鼻の中にかさぶた(痂皮)が付きますので週に1回程度の通院と、自宅での41度の生理食塩水による鼻洗浄が必要になります。通学は手術数日後から可能ですが、体育の授業や体育系の部活などは術後2週間休んでいただきます。手術後3か月経った時点で鼻内のファイバースコープ検査、CT検査などにより手術効果を確認します。

手術による鼻づまり(鼻閉)改善効果は約90%です(※1)。ただ、子どものアレルギー性鼻炎の症状は成人より重症であることが多く、手術した場所の炎症が再度悪化してまた鼻がつまってしまうことがあります。その場合には下鼻甲介粘膜焼灼術などを追加することが効果的ですので、一度の手術で効果がないからとあきらめずに通院治療をしていただくことをすすめています。

(※1)当院で2015年に行った調査では、粘膜下下鼻甲介骨切除術・後鼻神経切断術をうけられた方(11~74歳)のうち、88.2%の方が鼻づまり(鼻閉)の改善を自覚されたという結果でした。(対象457例、アンケート回収228例中201例に鼻閉症状スコアの改善を認めた. 2015年日本耳鼻咽喉科学会総会で報告)