小児の真珠腫(先天性)の症状・症例

症状

真珠腫の多くが先天性で、学校検診や耳鼻科受診の際に気づかれる例がほとんどです。

小児は自ら難聴の症状を訴えることはなく、通常の診察ではわからないこともあり、疑いがある場合はCTにて精査します。中には、当初は急性中耳炎として治療されてもなかなか治りにくかったり、治療後も中耳炎を繰り返す場合では、真珠腫が原因というケースもあります。

初期では自覚症状はほとんど感じません。時々耳閉感(耳がふさがった感覚)が繰り返されているうちに徐々に進行し、聴力が悪くなってきたり、耳漏が繰り返し生じるようになります。真珠腫が進展し中耳の組織が破壊されてしまうと、はっきりと難聴や耳漏、眩暈などが感じられます。

慢性中耳炎の範疇に含まれますが、特に中耳や内耳周囲の骨が徐々に破壊されるなど、時間とともに進行する病気です。症状は長引く耳漏、難聴や耳の痛みを生じ、進行するとめまい、顔面神経麻痺、髄膜炎、脳膿瘍を起こすこともあります。

診断

慢性中耳炎と同じく耳内の診察、聴力検査、細菌検査、CTで診断します。

治療方法

軽度であれば自覚症状はありません。しかし普通の慢性中耳炎と異なり診断がつけば早期に手術<鼓室形成術>が望ましい病気です。真珠腫の進行の度合いが軽いほど、術後の成績も良好です。進行している場合は2回に分けて段階的に手術を行います。

当院での取り組み

現在、真珠腫の手術は、外耳道を大きく削除する外耳道後壁削除(オープン法)と、外耳道を自然な形に保ったままで真珠腫を取り除く外耳道後壁保存(クローズ法)があります。

当院では可能な限り外耳道後壁保存(canal wall up technique)で行います。

真珠腫は目に見えない程度でも取り残しがあると再発するため、外耳道後壁保存には高い技術を要するとされていますが、当院では耳の形をできるだけ元通りに近づけたいという考えのもと外耳道後壁保存による手術を行っております。

これは、当院では患者様のQOL(生活の質)の向上を重視した治療方針を目指していることに起因します。手術後の生活において活動の制限を強いられるリスクを減らすことも治療の大きな役割のひとつです。

外耳道後壁保存での治療は、海水浴やプールを利用する際に中耳炎が発症するリスクを大幅に軽減できるので、学園生活などにおいて行動に制限されることはほとんどありません。

一方でオープン法を選択すると、外耳道が耳の後ろの乳突腔まで広がることにより耳漏が出たり耳垢が貯留しやすい状態になってしまい、不快感が持続する場合があります。こうなると頻繁に耳鼻科に通院し清掃を行う必要があります。

このような違いは手術成績に反映されにくい部分となりますが、岩永医師の長年にわたる手術経験上、外耳道後壁保存(canal wall up technique)が患者様にとって最良の手術法であると考えています。なお、真珠腫による骨の破壊が高度な場合や繰り返し再発している場合は外耳道後壁削除(canal wall down technique)の方法を選択したほうがよいこともあります。

患者様の症状と状態をしっかりと診断したうえで、最善の治療方針をご説明させていただきます。

真珠腫性中耳炎の手術法・鼓室形成術について