医療法人顕夢会京都耳鼻咽喉音聲手術医院

難聴・補聴器についての患者さん向け勉強会

先月の話になりますが、土曜日の午後に患者さま向けの講演会を開催いたしました。待合室のスペースが限られるので、20名ほどしかお呼びできないのですが、今回もメールでお知らせをお送りすると、2日ほどで定員がいっぱいになってしまいました。ありがとうございます!

今回の内容は、耳の構造と難聴をきたす疾患について、私(廣芝)からお話させていただき、次に当院に2月より勤務している言語聴覚士の尾崎さんから、補聴器や各種聴覚検査についての話、更には補聴器取扱業者さんからも、機種説明やフィッティングの仕方をお話していただきました。

 

まず難聴の分類ですが、簡単に分けると、

  1. 音の振動がうまく伝わりにくくなっている難聴(伝音難聴)
  2. 音の振動を感知する部分が悪くなる難聴(感音難聴)

とがあります。

伝音難聴の原因としては、鼓膜に穴が開いていたり、鼓膜の振動を伝える小さな骨(耳小骨)が外れていたり、固まっていたりすることが挙げられます。このタイプの難聴は、手術によって改善する可能性があります。

一方、感音難聴は、基本的に治療が難しくなることが多いです。加齢によっても徐々に感音難聴が進んできますが、突然発症する突発性難聴などの病気では片側の耳に感音難聴が生じます。早期に治療が必要となりますが、それでも難聴が残ってしまうことがしばしばあります。

どのタイプの難聴であっても、補聴器が役立つかどうかは、詳細な検査をして判断いたします。全く聴力を失ってしまった耳には、補聴器は役に立ちませんが、言葉の聴き取りを測る検査(語音聴力検査)である程度の言葉を聞き取ることができるかどうかを測り、ある一定以上の聴き取りの力があれば、補聴器の適応となります。

 

補聴器は、単に音を増幅するだけではなく、患者さんの聴力に合わせて、必要な周波数の音を増幅することができます。また最近ではスマートフォンと連動して、言葉が文字に変換できるタイプのものもあります。UDトークというアプリはご存知でしょうか?かなりの精度で音声を認識でき、音声のみならず視覚からも相手の言葉の内容を理解しようとする試みもなされています。

将来的にはウエラブルの眼鏡タイプなどの機器を介して、相手の言葉が視覚化されたり、翻訳されたりできるようになるのではないかと思います。

 

最近特に言われ始めているのが、難聴と認知症との関係です。難聴のために日常会話やコミュニケーションができなくなると、できる方に比べて認知症を発症するリスクが高まるとのエビデンスが示されています。

まずは難聴がどの程度もので、どのタイプの難聴かを見極める必要があります。比較的若い年代での難聴は、耳硬化症など手術で改善できる可能性が高い疾患もありますので、あきらめずにまずは耳鼻咽喉科に受診されることをお勧めします。

また、補聴器はいきなり購入するのではなく、各検査をしたのちに、まずは装用を試すことが重要です。聴こえないのが当たり前の状態に、いきなり音が入ると、必ずうるさく感じてしまいます。2,3か月かけて慣れるくらいの心構えを持つことが重要です。

 

先日補聴器フィッティングをはじめ、聴覚に関わる診療を精力的に行っておられる、宇都宮済生会病院耳鼻咽喉科 新田清一先生を訪ねて、我々もその診療体制を学んでまいりました。この病院は全国から難聴の患者さんが訪れており、きめ細かい診療をされています。非常に学ぶべき部分が多く、刺激を受けてまいりました。当院でも聴力検査機器を刷新し、補聴器適合検査ができる体制を整えつつあります。

また宇都宮ということで、時間が限られる中宇都宮駅前の餃子屋さんで餃子を食べたのですが、マヨネーズと一味唐辛子で食べるそうです。正直、すごくおいしいとは感じなかったですが、次回また見学に行く際は、もう少し栃木、宇都宮の食事処を前もって調べていこうと思います。

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