小児の鼻づまり・鼻閉について

小児の鼻閉(鼻づまり)改善手術

薬が効かない重症のアレルギー性鼻炎の子どもへの手術治療に関して、今回は当院で行っている鼻閉(鼻づまり)改善手術についてまとめましたのでブログで紹介します。
アレルギー性鼻炎に対する治療は薬を内服して症状を抑える方法が広く行われていますが、
くしゃみ・鼻みず・鼻づまりといった症状のうち、「鼻づまり」(鼻閉)は薬が効きづらい症状です。子どもの鼻づまりは成長障害、睡眠障害、学力低下などをもたらすと言われています。
当院では重症のアレルギー性鼻炎による子ども(小児)の鼻閉(鼻づまり)を改善するための治療として、12歳前後から全身麻酔下での内視鏡手術を行っています。

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主に行っている手術: 
   粘膜下下鼻甲介骨切除術
   後鼻神経切断術(経鼻腔翼突管神経切除術)
病状にあわせて行うことがある手術:
   鼻中隔矯正術
   内視鏡下副鼻腔手術
当院では2010年以降、215名の小学生、中学生(10~15歳)に手術を行ってきました (2017年5月現在)。
ここ数年、私達が日本語版の翻訳に携わってきた、SNOT22という世界中で用いられている鼻副鼻腔炎に関連する自覚症状の調査票を用いて手術後の自覚症状の変化を調査した結果、手術後、鼻閉症状のみならず、睡眠・精神状態にかかわる自覚症状が改善されていることがわかりました。特に、「寝つき」「集中力」という項目で改善がみられました。この結果については今年の日本鼻科学会で発表する予定です。

手術は大体60~90分くらいで終わりますが、局所麻酔での手術は数分であっても耐えることが難しい子どもにとっては、手術中の痛みがなく、不安や恐怖も感じずにすむ、全身麻酔手術がベストです。また、手術日の夜は少し出血したりしますので入院していただくことが本人、家族の両方にとって安心です。(逆に何日も入院するのは子どもにとっては大きなストレスになります)
つまり、全身麻酔手術1泊2日入院は子どもにとって理想的な手術環境といえます。
最近の全身麻酔は麻酔薬の進歩により昔より格段に安全なものとなっています。また、当院では全身麻酔手術が受けられるかどうかにつき、前もって採血・心電図・呼吸機能などの検査を行い、結果に問題のない方のみに手術を行うことで、より安全性を高めています。(検査で問題のあった方には投薬治療や粘膜焼灼術などの治療を行ったり、総合病院に紹介したりします)

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手術後は生理食塩水による鼻洗浄を!
術後は1か月ほど鼻の中にかさぶた(痂皮)が付きますので週に1回程度の通院と、自宅での41度の生理食塩水による鼻洗浄が必要になります。通学は手術数日後から可能ですが、体育の授業や体育系の部活などは術後2週間休んでいただきます。手術後3か月経った時点で鼻内のファイバースコープ検査、CT検査などにより手術効果を確認します。
手術による鼻づまり(鼻閉)改善効果は90%以上です。ただ、子どものアレルギー性鼻炎の症状は成人より重症であることが多く、手術した場所の炎症が再度悪化してまた鼻がつまってしまうことがあります。その場合には下鼻甲介粘膜焼灼術などを追加することが効果的ですので、一度の手術で効果がないからとあきらめずに通院治療をしていただくことをすすめています。

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